個人事業主の場合、事業の支出は経費として計上することができます。
ただし、仕事とプライベートで兼用しているものの支出は、全てを経費にできるわけではありません。
代表的なのが、自宅を事務所としても使用している場合の家賃です。
プライベートと一体化している支出に関しては、判断が難しいとされています。
今回はこのような支出に関する経費計上の考え方について解説していきます。
【事業とプライベートで一体化しているものとは?】
仕事用とプライベート用に区別しづらい支出とは個人にかかる税金の代表的なものに所得税があり、原則的には『所得(=収益-経費)』に所得税率をかけて算出します。
利益が少なければ税額も少なくなるため、一般的には計上できる経費が多いと利益が少なくなり節税に繋がります。
事業にかかわる支出の多くは、以下の様に経費計上することができます。
◇給料賃金……従業員の給与や賃金
◇地代家賃……事務所や駐車場の賃料
◇消耗品費……事業に使用する文具やパソコン用品の購入費(購入時の価格が10万円未満のもの)
◇通信費……インターネットの接続料や携帯電話料金
◇広告宣伝費……Webサイトやチラシの制作料
ただし、事業とプライベートの支出が一体化している場合は、必ずしも全てを経費にできるわけではありません。
仕事とプライベートで共用するものの例としては、家賃や通信費、水道光熱費、事務用品やパソコン用品などの購入費、車のガソリン代、交際費など、色々な種類があります。
これらは、事業用とプライベート用の支出を分けて経費にする額を決める必要があります。
これを『家事按分』といいます。
【事業に使用している割合を算出して計上する】
例えば事業所と自宅が一体化している場合、その家賃については全てを経費にすることはできません。
この場合、家賃のうち事業に使用した分を計算して経費として計上します。
自宅の半分を事業所として使っていれば家賃の50%を、4分の1を事業所として使っていれば家賃の25%を『地代家賃』として計上できるということになります。
そのためにも、可能な限り、自宅の中をプライベート用と事業所用の空間に分けておくことが望ましいといえます。
自宅に応接室を作るのであれば、そこは一切私生活では使用しないといったルールを作ったり、逆に自室には仕事を持ち込まないようにしたりなどの工夫をします。
そのうえで、実際に事業として使用している面積割合を計算すれば明解です。
しかし、現実問題として、自宅をはっきりと事業用とプライベート用に分けることはむずかしいことも多いでしょう。次回のブログではそのような場合の対処法や考え方についてご紹介します。
※本記事の記載内容は、2020年8月現在の法令・情報等に基づいています。